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オードリナ/V.C.アンドリュース

『森に囲まれた古い屋敷に、両親と伯母、従姉妹と暮らすオードリナ。学校に通う事も許されず、外界から遮断され時間の感覚さえも曖昧な、どこか歪んだ日々。ことあるごとに父親が語って聞かせる、9歳で死んだという美しく天使の様な完璧な姉"オードリナ"の影や、抜け落ちた自身の記憶に独り苦悩するオードリナは、ある日、森の中の小屋に越して来た少年、アーデンと出会い―――』

小説です。サイコサスペンス…になるのかな?
雰囲気が、とっても好みでした。ぶっちゃけ、オチはすぐに「あぁ、これって○○なんだね」と分かっちゃうんですが、光と陰の描写や、古い映画の様な独特の空気感に引き込まれて、一気に読んじゃいました。オチは分かってても、後半のサスペンス展開とか、どうなるんだろうという部分はしっかりあるし面白いです。特にオードリナが身動きとれなくなってる辺りは、読んでて苦しくなっちゃうくらい。ひたすら「人間の弱さ」が描かれていて、かなりドロドロしてますな〜…
後半からはラブストーリー要素も有りなんですが、ヒーローたるアーデンがねぇ…。頼りないというか何というか…。気持ちは理解できなくもないんだけど、あんた償いたかったんじゃないのかよ…とツッコんじゃうんですよね、どうしても;;; 償いのつもりが本当の愛情に変わったからこそ辛かったんだとしても、やっぱり何だかな…と。ラストも、ハッピーエンドとは言い難いし。考えようによってはハッピーエンドと取れなくはないけど、それにしては暗雲漂ってる気がしてならないんですよねぇ。オードリナの為には、ああじゃない方が、スッキリハッピーエンドだと思うんだけど。……サイコサスペンスだからこれでいいのか。
とか、色々言いつつ、全体的には面白かったですということで。

4594005322オードリナ〈上〉 (扶桑社ミステリー)
中川 晴子
扶桑社 1990-01

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